トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の症状
トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、治療をしないで放っておくと進行性の経過をたどります。
トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)は、治療をしないで放っておくと心臓のはたらきが悪くなる進行性の病気です。
病気が進行する過程では、心臓のはたらきが悪くなることでみられる心不全や心臓の脈を打つリズムが乱れる不整脈が新たにあらわれたり、それらがひどくなったりすることがあります。
心臓は、人のからだを動かすためのもっとも大切な臓器の1つです。
心臓のはたらきが悪くなると、ちょっとした動きでも息切れするようになり、さらに進行すると死に至ることもあります。
病気の経過には個人差がありますが、トランスサイレチン型心アミロイドーシスは進行性の経過をたどるため、きちんと治療を受けていただくことが望ましいです。
トランスサイレチン型心アミロイドーシスにはどんな症状が関連していますか?
トランスサイレチン型心アミロイドーシスの患者さんでは、以下のような症状が病気と関連してあらわれることがあります。
気になる症状があった場合には主治医に必ず相談し、確認してもらいましょう。
- 息苦しい
- むくみ
- 疲れやすい
息苦しい、むくみ、疲れやすいなどの症状があらわれることがあります。これは、心臓のはたらきが悪くなったこと(これを心不全といいます)によるものである可能性があります。
- 息切れ
- 息苦しさ
- めまい
- 胸の痛み
脈が速くなったり遅くなったり不規則になったりする(これを不整脈といいます)ことがあります。脈の乱れはご自身では気がつきにくいかもしれませんが、ドキドキする(どうき)、息切れ、息苦しさ、めまい、胸の痛みなどの症状としてあらわれることがあります。
- 手のしびれや痛み
手にしびれや痛みがあらわれることがあります。これは、遺伝子変異によらないトランスサイレチン型心アミロイドーシスに併発することが多い「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」によるものである可能性があります。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)って何ですか?
手根管症候群では、両手の親指、人差し指、中指、薬指の中指側にしびれや痛みがあらわれます。
遺伝子変異によらないトランスサイレチン型心アミロイドーシスの患者さんでは、心臓の症状がみられるよりも前にあらわれることが多い症状といわれています。
「アミロイド」が手根管と呼ばれる手のひらのつけ根にあるトンネルにたまることであらわれると考えられています。
日常生活で気をつけることはありますか?
トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、知らない間にからだのなかに「アミロイド」が、おもに心臓にたまってしまったことが原因です。
心臓のはたらきが悪くなっている場合は、心臓に負荷をかけすぎないようにすることが大切です。
適切な運動量や塩分の摂取量の目安などは、主治医の指示に従うようにしてください。
過度な運動は避けましょう。
塩分は控えめに。
ワクチンの接種などで、心不全悪化の原因となりうる感染症の予防をしましょう。
トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の
治療
監修:九州大学大学院医学研究院
循環器内科学 教授 筒井 裕之 先生