トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の種類
トランスサイレチン型心アミロイドーシスには、遺伝子変異によらないもの(野生型)と遺伝子変異によるもの(変異型)の2種類があります。
遺伝子変異によらないもの(野生型)は、多くは加齢に伴うもので、「老人性全身性アミロイドーシス」と呼ばれることもあります。一方で遺伝子変異によるもの(変異型)は、神経症状がみられるのが特徴です。
遺伝子変異によらないトランスサイレチン型心アミロイドーシスとはどんな病気ですか?
遺伝子変異によらないトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)とは、遺伝子変異によるトランスサイレチン型心アミロイドーシスに比べ、高齢者にみられることが多い病気です。
この病気は、かぜのように突然かかるものではありません。
「アミロイド」という異常なタンパク質のかたまりが、からだのなかで作られるようになると、それが心臓などの臓器にたまっていき、だんだんと心臓のはたらきが悪くなっていきます。
病気の初期は、症状があらわれない人もいれば、手にしびれや痛みを感じる人もいます。
むくみや息切れを感じるようになったころには、心臓のはたらきがかなり悪くなっていることも少なくありません。
なお、この病気は一般的に、女性よりも男性に多いことがわかっています。
どうして「アミロイド」が作られるのですか?
「アミロイド」は、普段はからだのなかで正常にはたらいているタンパク質に異常が生じ、そうした異常なタンパク質がもととなって作られます。「アミロイド」のもととなるタンパク質は、現在30種類以上あることがわかっています。
トランスサイレチン型心アミロイドーシスの病名にある「トランスサイレチン」もそのようなタンパク質の1つです。
トランスサイレチンは、通常4つ1組で血液中に存在しています。この4つ1組のトランスサイレチンが何らかの理由でバラバラになり、その後、ふたたび糸くずのような形に集まります。バラバラになる理由はまだわかっていませんが、その糸くずはさらに集まって、水や血液に溶けにくいかたまり(これを「アミロイド」といいます)に変わってしまうのです。
心臓のはたらきが悪くなるとはどういうことですか?
心臓は、どんなときでもドックンドックンとリズムよく「縮む」と「膨らむ」を繰り返しています。
ところが、心臓のはたらきが悪くなると、うまく「縮む」と「膨らむ」を繰り返すことができなくなってしまうことが多いのです。それでも心臓はがんばってはたらき続けるので、だんだん疲れてしまいます。すると、からだ中に血液をめぐらすことができなくなったり、ドックンドックンというリズムが乱れたりしてしまいます。
このように心臓のはたらきが悪くなった状態を「心不全(しんふぜん)」といい、脈を打つリズムが乱れることを「不整脈(ふせいみゃく)」といいます。
トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の
症状
監修:九州大学大学院医学研究院
循環器内科学 教授 筒井 裕之 先生